「骨」展 オープニングトーク「からくリミックス」

東京ミッドタウンの「21_21 DESIGN SIGHT」で開催されている「骨」展のオープニングイベントに行ってきました。

http://www.2121designsight.jp/bones/event_0530.html

社長のトーク、デモは相変わらずで面白かったのですが、今回の対談相手であるからくり人形師、九代目玉屋庄兵衛さんのお話は実に新鮮でした。「仕事を教わるわけでもなく、技術は見て盗む」「設計図なんてものはない」という姿勢が、われわれのものづくりのスタンスとは間逆で、芸術作品とマスプロダクトの違いってこういうことなんだろうなぁ、と考えさせられます。代々伝わるからくり人形師はあの方だけ、でもマスプロダクトを設計するわれわれにはいくらでも代わりはいる、ということなんだと思います。これは別に自分の生きている世界を否定的に捕らえてるわけじゃなくて、それぞれのスタンスの違い。職人さんの仕事はすごいと思いますけど、逆にわれわれの仕事を職人がやろうとしてもうまくいかないと思うんです。そういう意味では自分の仕事に劣等感を持つ必要は無い。

でもマスプロダクトは、どんなに時間と手間をかけて作っても、技術革新と時間の流れの中でいつかは消えていくものなんですよね。しかも割と早いサイクルで。そういう意味では、長い目で見て世の中に残り続ける仕事ってうらやましくもあったりして。この辺は主催の山中さんも同じ考えのように思えました。

ただ、トークの全般的なスタンスが「デジタルなんて意味不明。アナログはあったかい。マンセー!」的になっていたのは、デジタルの世界で飯を食っている自分には少々納得いかないものがありました。デジタルっつったって、ちゃんとロジック考えてものを作らないと動かないですし、つきつめていくとミクロのレベルではアナログなんですがねぇ。なんか表面的な事象で語られてる気がして、物事の根幹を見つめなおす「骨」展の趣旨としてはどうなんだろう?と生意気にも疑問に思ったりもしました。

ちなみに会場で、なんと学生時代の友人のパオマン(仮称)にばったり。びっくりどころの騒ぎでは無かったです。