夜のピクニック 読了

活字嫌いの私でも、ごくごくたまーにちゃんとした本を読みます。年に一冊ぐらい。というわけで、先月たまたま知ったこの本を読んでみました。第2回本屋大賞受賞、とのことですが、それって何?おいしいの?というぐらい分かってません。

とある高校には修学旅行がなく、その代わり丸一日かけて80km弱を歩きぬくという変わった学校行事があるそうで、この本はその行事の中で繰り広げられる人間関係や、心理描写をつづったお話です。…と聞いて、私のことを知ってる人ならピンと来たかもしれませんが、この高校、実は私の母校なのです。当然ながらこの行事のことは知ってますし、実際に参加してきました。

というわけで、読んでいると当時を思い出して、その世界感にものすごく入り込めてしまうんですよ。この本に書かれている海沿いの巡回コース(東海コース)は、私が参加したときは途中で雨天中止になってしまったのですが、それでも学校周辺の描写は固有名詞が自然に出てくるぐらいに良く知っています。本城橋にロマンス坂、水府橋の手前で桜川沿いの土手あるいて備前掘に続くんだなぁ、とか、大杉山の踏み切り越えたあとに地獄の坂があるんだよなーとか。それ以外にも、実際に同じ距離を2回ほど歩いていますので、歩いている途中の光景とか、心理的な移り変わり、体の疲労具合なんか、もう手に取るようによく分かるのです。ああ、確かにそうだよ、こんな感じだった、って。実際に経験してるのって強いですね。

内容は、読んでるこっちが恥ずかしくなってくるような、青春路線一直線。ここまでコテコテな青春の1ページではなかったものの、高三のときの歩行祭(ホンモノは「歩く会」だけど)は、自由歩行で片思いしてた女の子と競争してたことなんかを思い出し、僕も僕なりに青春していたんだなぁなんて、なんだか懐かしさと、もう戻ってこない日々への寂しさが募り、ちょっと切ない気分になりました。

実際に経験した自分はそういう意味で普通の読者より思い入れ200%増しぐらいで読めてしまいましたが、他の人はどう思うんでしょうね。